デニムストーンを製造する上で常に意識していることがいくつかあります。
これらのことを考えながら、上質なものづくりを行うことに最大限の努力をしております。
最初の工程は、まずデニムの端材を反毛と呼ばれる綿に戻す工程から始まります。現在、なぜ古着を活用せずに製造工程で出る端材を活用しているかというと、シンプルにものを作っていく上で安定供給される原料であることが大事であるため、製造されれば製造されるほど排出される端材を活用して綿に戻しています。
また、なぜ綿に戻す必要があるのか、という質問もいただくことがありますが、古着を古着として活用するだけのリユースや、古着を新たに洋服としてしたて直すリサイクルではなく、新たな価値を付与し生まれ変わらせるアップサイクルを行うことで、全く新しい美しさに生まれ変わらせられると考えているからです。
さらに、デニムにしても、スーツにしても、多くの衣類は長い歴史の中でデザインが磨かれ今の形状になっており、デニム生地はジーンズの状態が、スーツもスーツの状態であることがもっとも美しく、それを切った貼ったをしたり、細かく刻んだだけでは美しく生まれ変わらせることはできないと考え、硬化された形状になった場合に最大限に美しい状態を目指した時に綿に戻し生まれ変わらせる必要があると考えました。
日本人が日本で生んだから実現できた風合い、質が必要であるという想いと、新たな仕組みの構築が日本文化を守ることにも繋がらればという想いで、和紙の紙漉きの技術を活用させていただき材料を混合、整形しています。
ただ、技術を借りることで和紙のエッセンスを活用しているだけで、和風のものづくりを目指しているわけではありませんので、一見して和紙っぽいという言葉はいただいたことがありません。唯一無二の独特の風合いを実現しています。
現在私達の素材は石油由来の樹脂で硬化しております。
環境配慮の観点からすると植物由来の樹脂であるべきではないかと受け取られる方も居るかと思います。しかし、現在の技術では植物由来の樹脂では強度が出ない、熱に耐えない、発色が悪いなど、耐久性、利便性、意匠性の3つの観点から長く愛されるものを作るに耐える能力がまだないと判断しております。
私達の素材は、BOKENの強度テストも合格しており、マグカップを置いたくらいで変形するような耐熱性でもなく、もしお使い頂いている中で万が一、傷や凹み、割れが発生した場合でも簡単に補修することができます。また、長年お使い頂いたものを廃棄したい場合や、新品同様にリフィニッシュしたい場合でも、磨き直すことで蘇らせることができます。
石油由来の樹脂であっても廃棄、焼却されない仕組みを作り、長くお使いいただけるようにすることで、不要になったものを再度砕き製品化し直すといったようなエネルギー(CO2排出)をかけることなくお使い続けていただけます。
燃やされて二酸化炭素にしてしまうのではなく、固めて閉じ込め、その上で美しいものとして皆様に長くお使いいただくことで社会貢献に参加できる仕組みにするのと同時に、長く愛せるものとして手触り感があり、1日を通しての日の当たり方で発色が変わるこの新素材を活用した家具は、あなたの毎日に新しい彩りを加えてくれることでしょう。